肩こりを改善するために、マッサージや整体を受けている方は多いと思います。
施術後は肩が軽くなっても、数日すると再び重くなる。
そのような経験はありませんか?
慢性的な肩こりを考えるときには、筋肉の硬さを取り除くだけでなく、筋肉が適切に働く身体をつくることが重要です。
今回は、マイオカインと活性酸素の知識を、実際の肩こりケアに結びつけて考えてみましょう。
1.肩こり改善には筋肉の活動が必要
筋肉は、収縮することでマイオカインを分泌します。
その代表であるIL-6は、運動時のエネルギー代謝や炎症調節に関係しています。
また、適切な運動刺激は、活性酸素を介した細胞内シグナルを生み、抗酸化防御機構の適応にもつながります。
つまり、身体を動かすことには、筋力を高めるだけでなく、代謝や炎症調節を支える意味もあります。
2.整体で大切なのは「緩める」と「働かせる」の組み合わせ
肩こりが強い方では、肩甲骨や胸郭の動きが制限されていたり、首や肩の筋肉が過剰に働いていたりすることがあります。
このような場合、まず身体の動きを確認し、無理のない範囲で関節や筋肉の活動を引き出すことが大切です。
当スタジオでは、身体の状態に応じて次のような段階的なケアを考えます。
STEP 1:筋肉の緊張を調整する
肩や背中の筋肉、胸郭周囲の動きを確認し、過剰な緊張を軽減することを目指します。
STEP 2:関節と筋肉の協調性を高める
肩甲骨と胸郭、背骨の動きを組み合わせ、肩だけに負担が集中しない身体の使い方を練習します。
STEP 3:適切な筋収縮を取り戻す
軽い等尺性運動や抵抗運動を取り入れ、筋肉が必要なときに適切に働ける状態を目指します。
STEP 4:日常生活の活動量を増やす
短時間の歩行や階段の利用など、無理なく身体を動かす習慣につなげます。
3.1分間から始める身体活動
運動習慣がない方に、いきなり長時間の運動を勧めても継続が難しいことがあります。
そこで取り入れたいのが、日常生活の中で短時間の身体活動を増やす方法です。
例えば、
• 1分間、少し速めに歩く
• 階段を無理のない範囲で上る
• 仕事の合間に肩甲骨を動かす
• 椅子から立ち上がって軽く身体を動かす
• 体調に合わせて短時間の筋力運動を行う
といった方法です。
VILPA(活発な生活内身体活動)という考え方では、日常生活に短時間の比較的高強度な活動を取り入れることが注目されています。
ただし、VILPAの研究で報告されている健康効果を、そのまま肩こり改善の効果と解釈することはできません。
また、強い痛みがある方や運動に不安がある方は、無理に強度を上げず、自分の身体に合った活動から始めることが大切です。
4.肩こり改善から全身の健康づくりへ
肩こりを改善するための運動は、肩だけに限定する必要はありません。
下肢や体幹を含めた全身の筋肉を活動させることで、筋力、持久力、代謝機能などを総合的に高めることができます。
筋肉から分泌されるマイオカイン、活性酸素を介した適応反応、抗酸化防御機構。
これらは、日常的に身体を動かすことの生理学的な意味を示しています。
5.私たちが目指すのは、動ける身体を取り戻すこと
整体の役割は、硬くなった筋肉を一時的に緩めることだけではありません。
筋肉、関節、神経の働きを考えながら、身体を動かしやすい状態をつくり、その状態を日常生活の運動習慣につなげていくことが大切です。
筋肉をほぐすことから、筋肉を活かすことへ。
肩こりのケアをきっかけに、身体全体の活動性と健康を高めていきましょう。
銀座 KARADAコンディショニングスタジオ i-Potentialでは、お一人おひとりの身体の状態に合わせたコンディショニングと運動をご提案しています。
代表的な文献
1. Lightfoot AP, Cooper RG. The role of myokines in muscle health and disease. Curr Opin Rheumatol. 2016;28(6):661–666. PubMed
2. Pedersen BK, Fischer CP. Physiological roles of muscle-derived interleukin-6 in response to exercise. Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2007. PubMed
3. Whitham M, Febbraio MA. Regulation of myokine expression: Role of exercise and cellular stress. Exerc Sport Sci Rev. 2016. PubMed
4. Powers SK, et al. Modulating exercise-induced hormesis: Does less equal more? J Appl Physiol. 2015. PubMed
5. Systemic inflammatory markers in neck pain: A systematic review with meta-analysis. 2020. PubMed
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