膝が伸びない・曲がらないのはなぜ?
変形性膝関節症では、膝関節の曲げ伸ばしが制限されることがあります。
膝が十分に伸びないと、歩行中に脚で身体を支えることが難しくなり、歩幅や歩行速度にも影響する可能性があります。一方、膝が十分に曲がらない場合には、階段を上る、椅子に座る、床から立ち上がるといった動作が難しくなることがあります。
可動域制限には、関節包や周囲組織の柔軟性、疼痛、腫脹、筋緊張、関節の構造的変化など、複数の要因が関係します。
大腿四頭筋の筋力はなぜ重要なのか?
大腿四頭筋は、膝を伸ばす働きを担う重要な筋群です。歩行、立ち上がり、階段昇降など、日常生活の多くの動作で働きます。
膝OAでは、痛みや活動量の低下などを背景に、大腿四頭筋の筋力が低下することがあります。
筋力が低下すると、立ち上がりや階段昇降の際に必要な力を発揮しにくくなるため、日常生活での負担が増える可能性があります。
ただし、膝OAの運動機能は筋力だけで決まるわけではありません。
筋力を適切なタイミングで発揮する運動制御や、股関節・足関節との協調性も重要です。
膝周囲の筋肉だけを鍛えればよいのか?
膝OAの運動療法では、大腿四頭筋の筋力強化が重要ですが、それだけで十分とは限りません。
股関節周囲筋、特に股関節外転筋や伸展筋も、立位や歩行時の骨盤・下肢の安定性に関係します。
また、足関節の可動性や下肢全体の協調性も、歩行動作を考えるうえで確認したい項目です。
そのため、膝関節の状態に応じて、膝周囲の筋力強化と全身の運動課題を組み合わせることが重要です。
モビライゼーションPNFをどう活用するのか?
モビライゼーションPNFは、新井光男が考案したアプローチです。
膝関節の可動性だけを受動的に変化させることを目的とするのではなく、筋・関節の動きと神経筋の働きを関連づけ、動作につなげることを目指します。
臨床では、膝の状態を評価したうえで、必要に応じて骨盤や下肢の対角・螺旋運動を用い、身体全体の協調性を引き出すように介入します。
ただし、モビライゼーションPNFが膝OAの関節軟骨を再生させたり、変形そのものを元に戻したりすることを示す根拠はありません。
運動療法を補助する選択肢として、反応を確認しながら用いることが大切です。
まとめ
膝が伸びない、曲がらないという症状には、関節の構造的変化だけでなく、痛み、腫脹、筋力低下、運動制御などが関係します。
膝OAでは、可動域の確認と筋力評価を行い、立ち上がりや歩行などの具体的な動作につなげていくことが重要です。
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参考文献
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• Kolasinski SL, et al. Arthritis Care Res. 2020;72(2):149-162. doi:10.1002/acr.24131.
• DEUTSCHE GESELLSCHAFT FÜR ORTHOPÄDIE UND UNFALLCHIRURGIE. Prevention and Treatment of Knee Osteoarthritis 2024. AWMF Guideline 187-050.
