肩こりには肩を揉むだけでよいのでしょうか?
肩こりがあると、首から肩にかけての筋肉を揉んだり、温めたりする方が多いと思います。こうした方法で一時的に楽になる場合もありますが、肩こりを繰り返す場合には、筋力や筋持久力、身体の使い方にも目を向ける必要があります。
首や肩甲帯の筋肉は、頭部や上肢を支え、腕の動きを安定させる役割を担っています。そのため、筋肉の働きを評価し、必要に応じて運動を取り入れることが大切です。
筋力・筋持久力・運動制御は異なる
筋力は、筋肉が発揮できる力です。例えば、肩甲骨を安定させながら腕を動かすために必要です。
筋持久力は、一定の力を持続したり、繰り返し発揮したりする能力です。デスクワークや長時間の作業など、姿勢を維持する場面にも関係します。
運動制御は、目的に合わせて筋活動や関節運動を調整する能力です。腕を上げる際には、僧帽筋、前鋸筋、三角筋、回旋筋腱板などが協調して働きます。
筋力が強ければ肩こりが起きない、というわけではありません。必要なタイミングで筋肉が働き、動作に応じて筋活動を調整できることも重要です。
肩こりの運動療法では、首・肩甲帯の筋力、筋持久力、運動制御を組み合わせ、仕事や家事などの日常動作につなげることが重要です。
筋力トレーニングの研究
2024年に公表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、慢性頸部痛のあるオフィスワーカーを対象とした8件のランダム化比較試験が検討されました。
首、肩、肩甲骨周囲筋の強化運動は、痛みや機能障害を改善する可能性が示されました。しかし、対象となった8研究はいずれもバイアスリスクが高く、エビデンスの確実性は低いと評価されています。
この結果から、
筋力トレーニングは慢性頸部痛への有用な選択肢の一つと考えられますが、すべての肩こりに同じ運動が有効であるとはいえません。
肩こりに対する運動プログラムの考え方
1.症状と動作を評価する
頸部の回旋、腕の挙上、肩甲骨の動き、作業中の症状などを確認します。
2.低負荷から開始する
肩甲骨の運動や軽い抵抗運動など、無理のない負荷から始めます。
3.筋力・筋持久力を段階的に高める
回数、保持時間、抵抗を調整し、運動後の症状を確認しながら負荷を増やします。
4.機能的な運動へつなげる
腕を上げる、物を持つ、作業を続けるなど、実際の生活動作に近い運動を取り入れます。
i-PotentialのモビライゼーションPNFと筋力強化
当スタジオでは、首や肩甲帯の可動性、筋力、筋持久力、体幹との協調性を評価します。
必要に応じてモビライゼーションPNFを用い、肩甲骨や上肢の対角・螺旋方向の運動を促します。
その後、評価結果に応じて筋力強化や機能的運動につなげます。
モビライゼーションPNFは筋力トレーニングの代わりではありません。施術で得られた変化を確認し、運動による機能回復につなげることが重要です。
まとめ
肩こりの改善には、筋肉を揉むだけでなく、首・肩甲帯の筋力、筋持久力、運動制御を評価することが大切です。身体の状態に合わせて負荷を調整し、日常生活で使える運動機能を高めていきましょう。
参考文献
• Jones LB, Jadhakhan F, Falla D. The influence of exercise on pain, disability and quality of life in office workers with chronic neck pain: A systematic review and meta-analysis. Appl Ergon. 2024;117:104216. doi:10.1016/j.apergo.2023.104216.
• Blanpied PR, et al. Neck Pain: Revision 2017. J Orthop Sports Phys Ther. 2017;47(7). doi:10.2519/jospt.2017.0302.
• Resistance Exercise Training on Musculoskeletal, Metabolic and Psychological Health in Sedentary Office Workers: Systematic Review and Meta-analysis. J Occup Rehabil. 2025. doi:10.1007/s10926-025-10273-8.
