肩こりなのに、背中の動きを確認する理由
肩こりがあると、首や肩の筋肉に原因があると考えがちです。しかし、腕を上げる、振り向く、物を取るといった動作では、頸椎だけでなく胸椎、肋骨、胸郭、肩甲骨が協調して動いています。
胸椎は肋骨と連結し、胸郭を構成しています。
胸椎の伸展や回旋は、肩甲骨が動くための土台となる胸郭の形状や位置にも関係します。
そのため、肩こりの評価では、胸椎や胸郭の動きも確認することが有用な場合があります。
胸椎・胸郭と肩甲骨の関係
肩甲骨は胸郭の背面に位置し、肩甲胸郭関節という機能的な接触面を介して動きます。胸郭の形状や姿勢が変化すれば、肩甲骨の運動環境も変わる可能性があります。
例えば、胸椎の伸展が小さい状態で腕を上げる場合、肩甲骨や頸部の運動の仕方が変化することがあります。ただし、胸椎の可動性が小さいことが、必ず肩こりを引き起こすとは限りません。
重要なのは、胸椎の可動域だけでなく、実際の腕の挙上や体幹回旋の中で、胸郭と肩甲骨がどのように協調しているかを確認することです。
胸椎や胸郭の運動は肩甲骨の運動環境に関係します
。また、肩甲骨を動かす筋肉の一部は頸椎や胸椎にも付着しており、頸部と肩甲帯は機能的に関連しています。
呼吸と肩こりの関係
呼吸では、横隔膜や肋間筋などが働き、胸郭の形状が変化します。呼吸時には肋骨の挙上や外旋などが生じ、胸郭全体が動きます。
呼吸が浅くなったり、呼吸補助筋を過剰に使ったりする状態では、頸部周囲の筋活動が変化する場合があります。
ただし、呼吸パターンだけで肩こりの原因を説明することはできません。呼吸、姿勢、身体活動、筋持久力、心理的ストレスなどを含めて評価する必要があります。
胸郭・胸椎の評価で確認すること
• 胸椎の伸展と回旋
• 胸郭の左右差と呼吸に伴う動き
• 肩甲骨の上方回旋や後傾
• 頸椎の回旋・側屈
• 腕を上げる際の胸椎・肩甲骨・上腕骨の協調性
評価では、可動域の数値だけでなく、腕を上げる、振り向く、呼吸するなどの実際の動作で症状が変化するかを確認します。
i-PotentialのモビライゼーションPNFによるアプローチ
当スタジオでは、首や肩の状態を評価したうえで、必要に応じて胸郭、胸椎、肩甲骨、骨盤などの動きを確認します。
モビライゼーションPNFでは、対角・螺旋方向の運動と適切な抵抗を用いて、肩甲帯と体幹が協調して動くことを促します。
施術後には、頸部の回旋や腕の挙上などを再評価します。
胸郭へのアプローチは、すべての肩こりに必要なものではありません。身体の状態と動作の特徴に応じて選択することが大切です。
まとめ
肩こりの評価では、頸椎や肩甲骨だけでなく、胸椎・胸郭の伸展や回旋、呼吸に伴う動きも確認することが重要です。首・肩・背中を一つの運動システムとして捉え、実際の動作の中で評価しましょう。
参考文献
• Blanpied PR, et al. Neck Pain: Revision 2017. J Orthop Sports Phys Ther. 2017;47(7). doi:10.2519/jospt.2017.0302.
• Gross A, et al. Manipulation and mobilisation for neck pain contrasted against an inactive control or another active treatment. Cochrane Database Syst Rev. 2015;CD004249.
