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脳科学コンディショニング法

第1回:肩こりと肩甲骨の動きの関係とは?首・肩・胸郭の運動連鎖から考える肩こりケア

肩こりは肩の筋肉だけの問題なのでしょうか?

肩こりを感じると、首から肩にかけての筋肉を揉んだり、肩を回したりする方が多いと思います。確かに、僧帽筋や肩甲挙筋など、頸部・肩甲帯周囲の筋肉は肩こりの症状に関係します。
しかし、肩甲骨は胸郭の上を滑るように動き、上腕骨や鎖骨、頸椎、胸椎とも機能的に関係しています。そのため、肩こりを評価するときには、肩の筋肉だけでなく、肩甲骨がどのように動いているかを確認することが重要です。

肩甲骨は腕の動きに合わせて動く

腕を前から上げるとき、肩関節だけが動いているわけではありません。上腕骨の挙上とともに、肩甲骨は上方回旋、後傾、外旋などの運動を組み合わせます。鎖骨も胸鎖関節で挙上・後退・回旋し、肩甲骨の運動を支えます。
このような上腕骨と肩甲骨の協調的な運動は、肩甲上腕リズムとして知られています。ただし、肩甲骨と上腕骨の運動比率は一定ではなく、挙上角度、負荷、個人差によって変化します。
肩甲骨の動きが十分に得られない場合、腕を上げる動作で頸部や肩周囲の筋活動が変化する可能性があります。しかし、肩甲骨の位置や動きの左右差があるだけで、肩こりの原因と判断することはできません。

腕を上げるときには、上腕骨、肩甲骨、鎖骨、胸郭が協調します。肩甲骨だけを独立して考えるのではなく、肩全体の運動として評価することが大切です。

肩甲骨の動きと慢性的な首・肩の痛み

2024年に公表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、慢性頸部痛のある人を対象に、肩甲骨への介入を検討した8件のランダム化比較試験、計313人が分析されました。

肩甲骨を対象とした介入は、痛みの強さを改善する可能性が示されました。

一方で、頸部の機能障害や圧痛閾値には明確な改善が認められず、頸椎可動域や筋電図活動についても結論を出すには研究が不十分でした。研究間のばらつきも大きく、結果の解釈には注意が必要です。
この研究は、肩甲骨への介入が慢性頸部痛に役立つ可能性を示すものですが、あらゆる肩こりに肩甲骨の施術が有効であることを証明したものではありません。

肩こりの評価で確認したいこと

理学療法士による評価では、次のような項目を確認します。

• 肩甲骨の上方回旋、下方回旋、前傾、後傾、内外旋
• 腕を上げるときの肩甲骨と上腕骨の協調性
• 頸椎の屈曲・伸展・回旋・側屈
• 胸椎の伸展・回旋と胸郭の動き
• 肩甲骨周囲筋の筋力・筋持久力
• デスクワークや家事など、症状が出やすい生活動作
肩甲骨の形や位置を見ただけで原因を決めず、実際に腕を上げる、物を持つ、振り向くといった動作の中で確認することが重要です。

i-Potentialの肩こりケア

当スタジオでは、首や肩の症状だけでなく、肩甲骨、胸郭、胸椎、体幹の動きを総合的に評価します。

必要に応じて、新井光男が提唱したモビライゼーションPNFを用い、肩甲骨や上肢の対角・螺旋方向の運動を促します。

その後、肩の挙上や頸部の回旋などを再評価し、変化があれば筋力強化や日常生活動作につなげます。
施術の目的は、肩甲骨の位置を一律に矯正することではありません。

その人に必要な肩甲帯の運動と、首・肩・体幹の協調性を引き出すことです。

まとめ

肩こりを考えるときには、僧帽筋などの筋肉だけでなく、肩甲骨と上腕骨、胸郭、頸椎の運動連鎖を評価することが重要です。肩甲骨へのアプローチは慢性頸部痛に役立つ可能性がありますが、すべての人に同じ方法が適するわけではありません。
参考文献
• Chen Y, Yang C, Nie K, et al. Effects of scapular treatment on chronic neck pain: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. BMC Musculoskelet Disord. 2024;25:252. doi:10.1186/s12891-024-07220-8.

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