「もう何年も肩こりが続いている」
「検査では異常がないのに、腰がずっと痛い」
こうした慢性痛で来院される方は少なくありません。
そして多くの方が、「年齢のせい」「体が壊れているから仕方ない」と思い込んでいます。
しかし近年の研究から、
慢性痛の本質は“組織の損傷”ではなく、“脳と神経の誤作動”にあることが分かってきました。
今回は、当院で大切にしている PEACE & LOVEモデル を用いて、
「なぜ慢性痛が続くのか」「なぜ“動かさない”だけでは改善しないのか」を分かりやすく解説します。
慢性痛の出発点は「脳の守りすぎ」
慢性痛の多くは、最初は軽い痛みや違和感から始まります。
ところが、
- 痛みへの恐怖
- 痛みを避ける動きの繰り返し
- 無意識の力みや代償動作
が重なることで、脳は次第にこう判断するようになります。
「この動きは危険だ」
「ここは守らなければならない」
すると神経は過敏になり、中枢感作と呼ばれる状態に入ります。
これは、実際の刺激以上に痛みを強く感じてしまう状態です。
同じ動き・同じ姿勢ばかりを続けることで、脳の中の身体地図(ボディマップ)がぼやけてしまいます。
これを Smudging(スマッジング) と呼びます。
結果として、
- 体は固まる
- 動きはぎこちなくなる
- ちょっとした刺激でも痛い
という悪循環が完成します。
PEACEは「安静」ではない
慢性期における PEACE は、
「動かさないこと」や「とにかく休むこと」ではありません。
PEACEの本質は、過剰に入っている神経の“安全装置”を外すことです。
Protect(保護)
組織を固めるのではなく、
神経に入る刺激の質と量を調整します。
Avoid(回避)
痛みを煽る強刺激や、
誤った代償動作を繰り返さないようにします。
「何もしない」のではなく、「誤学習を防ぐ」段階です。
Education(教育)
ここが最も重要です。
脳に対して、「今は動かしても大丈夫」という情報を丁寧に伝え、
恐怖回避モデルを書き換えていきます。
この段階で神経の興奮が落ち着くと、
脳はようやく「動いていい状態」だと判断できるようになります。
土台ができて初めてLOVEへ進める
PEACEで神経の過剰防御が外れたあと、
初めて LOVEフェーズ に進みます。
段階的な運動
小さな成功体験を積み重ね、
「動いても痛くならなかった」という記憶を作ります。
PNFによる再統合
当院が重視しているPNFの螺旋・対角線運動は、
筋膜ラインと固有受容器を同時に刺激し、
ぼやけた身体地図を再び鮮明にしていきます。
成功体験の蓄積
痛みの記憶は、「成功体験」でしか上書きできません。
これが慢性痛改善の決定打になります。
慢性痛は「治らない」のではない
慢性痛は、
体が壊れているから治らないのではありません。
守りすぎている脳と神経が、
まだ「危険だ」と誤解しているだけなのです。
PEACEで神経を落ち着かせ、
LOVEで正しい動きと感覚を再学習する。
この順番を間違えなければ、
体は必ず変わっていきます。
所長より
慢性痛の治療とは、
壊れた体を修理する作業ではありません。
守りすぎている脳に、
「もう大丈夫だよ」と教え直す作業です。
長く続く痛みでお悩みの方は、
ぜひ一度、体だけでなく神経と脳の状態にも目を向けてみてください。
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当院の取り組み
KARADAコンディショニングスタジオ i-Potentialでは、
理学療法士が全身のバランスを評価し、
筋膜と神経のつながりを整える安全性の高い整体を行っています。その場しのぎではなく、
再発しにくい身体づくりを大切にしています。
