〜“骨が歪む”前に、膜が引っ張っている?〜
こんにちは。所長の新井です。
「背骨が歪んでいますね」「姿勢が傾いていますね」と言われたことはありませんか?
肩こりや腰痛がる人に多いかもしれません。
歪みの原因の一つに「筋膜の癒着」や「結合組織のねじれ」が関係している可能性があります。
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筋膜は全身を“つなぐ膜ネットワーク”
筋膜は、筋肉だけでなく、骨・神経・血管・内臓までも包み込み、
全身を一枚の膜として連結しています。
この膜は、テンション(張力)を全身でバランスよく保つことで、
姿勢や関節の位置を安定させています。
しかし、一部の筋膜が癒着して動かなくなると、
その部分のテンションバランスが崩れ、
全体の「張力ネットワーク」が歪んでしまうのです。
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癒着が“引っ張り力”を生む
筋膜が癒着すると、そこに「引っ張り力(トルク)」が生じます。
筋膜は層状構造なので、本来は層同士が滑ることで動きを分散していますが、
癒着すると層間が固定され、特定方向にしか動かない“硬い帯”になります。
その結果、
- 背骨の一部が引き寄せられる
- 肋骨や骨盤がねじれる
- 肩甲骨の位置がズレる
といった立体的な歪みが生じます。
これはまるで、全身タイツの一部が引っ張られて歪むようなものです。
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脊柱の歪みは「結果」でもある
一方で、脊柱の歪み(側弯や姿勢のクセ)が先にある場合もあります。
この場合、骨格の歪みに合わせて筋膜が「ねじれ」や「縮み」を起こし、
結果としてその部分が慢性的に癒着しやすい状態になります。
つまり、
「筋膜の癒着が脊柱を歪め」
「脊柱の歪みが筋膜を癒着させる」
という双方向の悪循環が生まれるわけです。
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慢性痛の原因になる「ねじれの連鎖」
筋膜癒着と脊柱の歪みが組み合わさると、次のような流れが起こります。
- 一部の筋膜が癒着し、動きが制限される
- 他の部位が代償的に過剰に動く
- 背骨や骨盤がバランスを崩す
- 局所的な筋過緊張と血流障害
- 慢性的な痛み・コリ・疲労感
この“ねじれの連鎖”が続くと、身体全体が硬く、動きにくくなります。
特に首〜背中〜腰にかけての筋膜は連続しており、
たとえば「ふくらはぎの癒着」が「腰痛」につながることも珍しくありません。
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改善のポイントは「膜を解放し、軸を整える」
整体的アプローチでは、
単に背骨を“矯正”するのではなく、
筋膜と間質の滑走性を回復させることが重要です。
癒着を解放し、膜が本来の伸縮性を取り戻すと、
身体は自然にバランスを取り戻し、脊柱は“自ら整う”方向に動き出します。
有効なアプローチ
- 筋膜リリース・軟部組織リリース
- 呼吸と連動した体幹調整
- 姿勢・動作の再教育(特に骨盤と胸郭)と筋力トレーニング
このように、膜 → 構造 → 動作の順に整えることで、
根本的な姿勢改善と痛みの軽減が期待できます。
まとめ:
「歪み」は結果、「膜」は原因。
| 現象 | 背景の変化 | 結果 |
| 筋膜癒着 | 間質液の停滞・線維化 | 膜の滑走不全・局所緊張 |
| 脊柱歪み | 筋膜のねじれ・不均衡 | 姿勢の崩れ・慢性痛 |
つまり、
骨格を支配しているのは「筋」ではなく「膜」。
筋膜を整えることで、脊柱は本来の位置に戻り、身体は“自然な軸”を取り戻していく場合があります
