「背中が片方だけ盛り上がっている気がする」
「左右の肩の高さが違う」
肩こりや腰痛があるときに、そんな“背中の歪み”を感じる方は少なくありません。
痛みを伴うこの歪み、実は筋膜の奥で起こる“間質の変化”が大きく関係しているのです。
■1. 筋膜は全身をつなぐ「張力ネットワーク」
筋膜は筋肉を包むだけでなく、全身を一枚の膜のようにつないでいる結合組織です。
背中の筋肉(脊柱起立筋群・広背筋・僧帽筋など)は、筋膜によって肩・骨盤・肋骨・脊柱と連結しています。
一部の筋膜が硬くなると、その張力が背骨全体に影響するということです。
■2. 慢性炎症が起こると“柔軟性”が失われる-ストレッチしても揉んでもダメな理由
肩こりや腰痛のように、慢性的に筋肉が緊張していると、
その周囲で微小な炎症が繰り返されます。
この炎症が長期化すると、「間質」がコラーゲン化し、
筋膜どうしの“滑り”が悪くなったり筋線維が萎縮して線維化が生じ筋肉が硬化してきます。
- 一部の筋肉が引きつれたまま動かなくなる
- 反対側の筋肉が過剰に伸ばされる
- 結果として、左右非対称な張力バランスが生まれる
この微妙なアンバランスが、やがて脊柱のねじれや傾き=背中の歪みにつながります。
■3. 「間質レベルの左右差」は構造的な歪みに発展する
初期のうちは“機能的な歪み”です。
つまり、筋肉や筋膜の張力が偏っているだけで、骨そのものは変形していません。
しかし、間質のコラーゲン化が進むと、その硬さが器質的な制限となり、背骨の可動性が失われていきます。
すると、
- 背中を伸ばしても戻る
- ストレッチしても片側だけ突っ張る
- 施術後は軽いけれど数日で戻る
といった、“構造的に固定されてきた歪み”へと進行してしまうのです。
■4. 背中の歪みを戻すカギは「間質環境の回復」と歪みの調整
歪みを根本から整えるには、
単に「骨を矯正する」よりも先に、間質レベルの柔軟性を取り戻すことが重要です。
ポイントは次の3つ:
- 間質液の流れを促す:軽い圧や振動、ゆっくりとした筋膜リリースで滑走を回復
- 炎症を鎮める生活改善:睡眠・食事・姿勢の見直し
- 筋の固有受容器を再活性化:軽い抵抗運動で「正しい動きの感覚」を取り戻す
この段階的なアプローチによって、
背骨を支える筋膜ネットワーク全体の“張力バランス”が整います。
背骨を物理的に調整することと筋膜ネットワークの調整で、身体の自然な姿勢やカーブを取り戻します。
■ 「ほぐしてもストレッチしても硬い」タイプの肩こり・腰痛
|慢性炎症 → 間質のコラーゲン化 → 筋膜の滑走障害 → 背中の歪み(張力アンバランス) を考慮しながら身体の歪みを調整することが重要です。
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